2013年10月12日土曜日

小説 「スナックちどり」よしもとばなな








「人にほんとうになにかを

してあげることは、

常に少し痛みのあること

なのだと思う。」

・・・帯の言葉を見て、ドキッ。



「スナックちどり」 よしもとばなな http://www.amazon.co.jp/dp/416382510X






あまりに仕事がキツイ時期に読んだがゆえに、

そのプレッシャーから、

周囲のすべてが灰色に見えるのと

同調して読むことができた、小説。



とゆーか、だいたいそういう時期に、よしもとばななさんの小説は読みます。


なにせ、調整力がすごくあるから・・・俗と聖の両方に通じる

人生現場力のある物語なので・・・

すごく力強い。





ばななさんの小説を読むと、

ふっと、自分の中に風が吹く。



確実に、なにかがゆるんで、

忘れていた思い出がつながって、

それで、私はここにいてもいいんだね、って思う。


ふんわりとした、この世での、

自分の着地点のクッション材のような。






私自身も、

着実に、自分の居場所を

ちいさく

ちいさく作ってきたけれど

ふっと恐怖が顔を出す瞬間がある。

「わたしは、ここ、にいてもいいんでしょうか?」

って。



この小説の

舞台は、イギリスの海辺のちっぽけな街。

そして、二人の女性の旅。

その、あまりにさびしすぎる町だからこそ、

起こった出来事は、

ばななワールドだけれど、

それでも、土地の雰囲気からなにかが起こる、っていう

普段生活していると簡単に忘れてしまう、

魔法を思い出した。





田舎の親戚の元で暮らしていた時がある。


泣きながら天井を見つめて

横になって呼吸していることしかできなかった時期の

数か月。

そして、なんでも神経がささくれだって過激に反応してしまう

私にとっては、

その、日本の田舎特有の

「なにもなさ」に逆に救われた。



ただ、田んぼと、大手スーパーと

中途半端な海水浴場と。高齢者の多い町。というか、村というか。




ちょっとずつ、薄皮をはぐように元気になっていって、

でも、仕事もできる状態でもないし、

毎日、何もできないから

ただひたすら、散歩をした。


裏から、田んぼの中を突っ切って、単線の線路の駅を通って、

町の小さな図書館を抜けて、

そして田んぼの中、町役場。

スーパーでぶらぶら。毎日のように本屋で立ち読み。

そして、海にむかって歩く。



お世辞にもキレイとは言えないゴミが打ち上げられてた

海の砂浜で、

突っ立って、ただ波の音を聞いてるだけで、なんとか気持ちは持った。

何も考えられないから、

ただ、じっと海を見ながらイヤホンを耳に突っ込んで。


まあ、毎日よく泣いたなあというぐらいに

じわじわと泣いていた。




周囲から見たら、

ただはがゆい、何も行動をしていないように見えた時期だろうけど

わたしはわたしで、自分の中の忙しさで精いっぱい。




そういう時期に、

「なにもない!」場所で、一見ムダとも思えるような時間を

過ごせたのは、

実は今の自分自身にすごおおく

だいじな時期だったなあ。



この小説のあらすじとも、内容とも関係ないけれど

そんなことを連想したのでした☆



当時、海を見ながらよく聴いていた曲。
水つながりのせいか、しっくりきた。



川井郁子 水百景









曲だけでも、明るいものを光のあるものを、と

水をごくごく飲むみたいに聴いていた。

今あの渇望感は無いけれど、やっぱり大事な曲。

今回このブログを書くために初めてPVを見たら、

とても明るい向日葵畑でロケしてたのでビックリ(笑)














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