2013年10月12日土曜日

小説 「心はあなたのもとに」 村上龍



村上龍「心はあなたのもとに」

http://www.amazon.co.jp/dp/4163300007



村上龍の恋愛小説は切ない。

そして、言葉がハンパない。

タイトル「心はあなたのもとに」も、胸どきゅんでしたが・・・


以前読んだ恋愛短編集「とおくはなれて そばにいて」

も、このタイトルだけですべてが語りつくされてるな~・・・・と。




や・は・り・・・・村上龍は天才なのだなあ・・・

常人ではにゃーい。


と圧倒されっぱなしだった小説。




しかも男性心理が描写されまくっていて

読んでいる間は、


繊細な、

アタマ良すぎる中年のおじさん(超金持ち・アッパークラス)に

なりきった気分になれる、なんともお得すぎる小説。



分厚かった(604ページ・2.5センチ)のに、

その分厚さが全く気にならず読めました。



そして、もう何度も何度も泣きそうになって、

男の人のやさしさと繊細さに浸り切ってしまって、

自分が女だとか、何歳だとか、どういう肩書だとか、

いうことを全部忘れられた。




というか、そういう読者の現在の状況を

全部ぶっ飛ばして、

その世界観に引きずり込む小説が大好きです。




ちなみに、


小説家では、村上春樹と、村上龍と、よしもとばななが好き。


で、よしもとばななさんの日記に

この小説が出ていたのだが、その書かれ方がすごくてずっと気になっていた作品。

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2011.04.27

龍先生の「心はあなたのもとに」を読んで、ものすごく落ち込む。
こんなのが書けるなんてもうそんな人生経験、知りたくないっていうくらいに。
なんといっても、彼女のメールの文体がリアルすぎて、フィクションと言われても容易には信じられない。
しかもオチはわかっているのに、こんなにつらいなんて。うますぎる!
あまりにもうますぎるのだ!特に最後のほうのパーティの場面なんてもううますぎて
吐きそうになった。


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http://www.yoshimotobanana.com/diary/2011/04/

より



さすが同業者超ホメ上手・・・




読んでいると、自分が数段頭がよくなった気分になる小説です。

そして、繊細かつ鋭敏すぎる心理描写に

何度も、じわじわと、涙が出てきてしまった。



ネタバレだけれど、

愛人の女が、病弱で死んでしまって、死に目に立ち会えず・・・て

古典的なぐらいの設定なのに

そして、そこに向かっていくのが最初から読者に提示されているのに

それでも、そこにこの切実さが伴っているなんて。



そうだった、生きてるってこういう風に、

誰だって死んでいくってわかってるけれど、


じゃあ、今やっていることは

全て無駄なのか?


って言ったら、そうじゃなくて。






その毎日の細かい風とか空気のゆれとか

太陽の光がまぶしいだとか





ささいなくだらないことが積み重ねられるだとか。

メールの顔文字とか、すねたり、甘えたり。

誤解したり、うちとけたり、ケンカしたり

計算したり、仕事したり、

全体のこと考えたり、自分の健康のことだけしか考えられなかったり。

ごったまぜ。で。



そういう過程なんだった。

と。





読んでいて、自分の中のなにかが、浄化されていく気分になる小説でした☆


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