村上龍「心はあなたのもとに」
http://www.amazon.co.jp/dp/4163300007
村上龍の恋愛小説は切ない。
そして、言葉がハンパない。
タイトル「心はあなたのもとに」も、胸どきゅんでしたが・・・
以前読んだ恋愛短編集「とおくはなれて そばにいて」
も、このタイトルだけですべてが語りつくされてるな~・・・・と。
や・は・り・・・・村上龍は天才なのだなあ・・・
常人ではにゃーい。
と圧倒されっぱなしだった小説。
しかも男性心理が描写されまくっていて
読んでいる間は、
繊細な、
アタマ良すぎる中年のおじさん(超金持ち・アッパークラス)に
なりきった気分になれる、なんともお得すぎる小説。
分厚かった(604ページ・2.5センチ)のに、
その分厚さが全く気にならず読めました。
そして、もう何度も何度も泣きそうになって、
男の人のやさしさと繊細さに浸り切ってしまって、
自分が女だとか、何歳だとか、どういう肩書だとか、
いうことを全部忘れられた。
というか、そういう読者の現在の状況を
全部ぶっ飛ばして、
その世界観に引きずり込む小説が大好きです。
ちなみに、
小説家では、村上春樹と、村上龍と、よしもとばななが好き。
で、よしもとばななさんの日記に
この小説が出ていたのだが、その書かれ方がすごくてずっと気になっていた作品。
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2011.04.27
龍先生の「心はあなたのもとに」を読んで、ものすごく落ち込む。
こんなのが書けるなんてもうそんな人生経験、知りたくないっていうくらいに。
なんといっても、彼女のメールの文体がリアルすぎて、フィクションと言われても容易には信じられない。
しかもオチはわかっているのに、こんなにつらいなんて。うますぎる!
あまりにもうますぎるのだ!特に最後のほうのパーティの場面なんてもううますぎて
吐きそうになった。
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http://www.yoshimotobanana.com/diary/2011/04/
より
さすが同業者超ホメ上手・・・
読んでいると、自分が数段頭がよくなった気分になる小説です。
そして、繊細かつ鋭敏すぎる心理描写に
何度も、じわじわと、涙が出てきてしまった。
ネタバレだけれど、
愛人の女が、病弱で死んでしまって、死に目に立ち会えず・・・て
古典的なぐらいの設定なのに
そして、そこに向かっていくのが最初から読者に提示されているのに
それでも、そこにこの切実さが伴っているなんて。
そうだった、生きてるってこういう風に、
誰だって死んでいくってわかってるけれど、
じゃあ、今やっていることは
全て無駄なのか?
って言ったら、そうじゃなくて。
その毎日の細かい風とか空気のゆれとか
太陽の光がまぶしいだとか
ささいなくだらないことが積み重ねられるだとか。
メールの顔文字とか、すねたり、甘えたり。
誤解したり、うちとけたり、ケンカしたり
計算したり、仕事したり、
全体のこと考えたり、自分の健康のことだけしか考えられなかったり。
ごったまぜ。で。
そういう過程なんだった。
と。
読んでいて、自分の中のなにかが、浄化されていく気分になる小説でした☆
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