2013年11月29日金曜日

♡ 「かぐや姫の物語」について、語り隊 ♡




ネタバレ盛大です、ご了承ください。



「かぐや姫の物語」

姫の犯した罪と罰








号泣。
あちこちのシーンで、号泣。
(といっても、映画館は静かなので目から自動的に落ちる涙。)


もう、泣きました。
あと3回は見られる。


見ながら、自分がどんどん素に戻っていく感じ。

欲望とか、大人の損得とか
植え付けられたり、覚えたり
与えられる前の

「どうして、多くの大人はそれ(金・成績・名誉etc)を欲しがるのだろう」
という透明な感覚を

思い出して、
思い出せて

また泣いたりしました。
帰りのバスの中で。



いきなりラストシーンから。


ストーリーはわかってる、おそらく、
すべての日本人がわかってる。



最後にかぐや姫が
月に、帰っていくことはわかってる。


しかし、
かぐや姫が、月に返っていくシーンで、
映画館中から、すすり泣き。
もう涙止まりません。。



かぐや姫が、天女のお迎えを受けて、
「地上の穢れを払って、悲しみも苦しみもない世界へ・・・」と言われた時、

「でも、地上はすばらしいわ!」

と言いかけて
でも、全部言い終えられずに天の衣をつけられて、、
すっと登って行ってしまう。



人との別れってこうだよね。(私の経験上)
唐突で、どっか尻切れトンボで
だから、次回があるかもって思って。



それで、
また来るかもしれないし
無いかもしれないし。


そして、月世界=天上とは、
苦しみも悩みも無い、世界らしい。が。


私も、
あまりにも自分の手に余る
苦しみとか悩みとか空から
唐突にガン! 
宇宙中の重力が自分の身に
降ってきたように感じて

もう、こんな感情なんざ無い世界に
生きたいと思ったこと、きっと百万回ぐらいある。




そして今の日本、

3.11で
あの津波が来た時の映像をテレビで見たときに
体中が恐怖と悲しみで、
凝固して
原発問題が起きて、

天上の世界、
たとえば月の世界から見たら、

「汚れた地上」
「汚れた国」になってしまったのかもしれない。


けれど、それだって
すばらしいことは、たくさんあるんだから、

やっぱり私も、
かぐや姫と同じように。

「それでも、地上はすばらしいものがたくさんある!」

と。

そして、感情も苦しみも、悩みも
無い、今の記憶が無くなる月世界に
もしも、連れて行ってあげますよ~と
言われたら。

「イヤです。」


と答えるだろうな、と。



たとえそれが天女相手(笑)だろうと、
仏様相手(笑)だろうと(←月からの、お出迎えの主。)
やっぱり真正面から
きっぱりと
その目を見て、言いたい。

し、増やしていきたい。
地上で生きるものとして、
地上でのすばらしいものを。
自分の手のとどく範囲内で。


************


かぐや姫が、成長していく過程で。

大人になっていく時の哀しみが描かれていて
すごい、と思った。

性別の差もなく、
山の田舎で遊び回っていたかぐや姫が、

どんどん、「都風」に洗練されていって、
お行儀よくすることをしつけられていく。


大人になる時に、失っていくものの痛み。
今までのようにはできない寂しさと厳しさを
思い出して、
また号泣。



中性的な、少女が、
女になっていく時の縛り。


この世で、年をとっていくときに
周囲から、大人から押し付けられていくもの。

世間が、親が、大人が、センセイが、

良い、と、すばらしい、と言うから、

じゃあ、そうなんだろう、
とそれに沿って生きていくこと。
その時に産まれる苦しみ。


別に、特に、ほしくないのに、
いつのまにか、
持って生まれてしまったがゆえに、
周囲から羨望されるもの。




最近、
「夢の現実化」スピードと、
どうすれば、どういう心持だったら
叶うの?

ってことについて
考えてたけれど、その答えもあった感じ。



すごく傲慢に聞こえるかもしれないけれど、

「別に・・・本当に・・・ほしくないから」
だから、手に入るんじゃないだろうか。


逆説的だけれど
小さいころの、幼いころの
豊かさって、これだった、と思い出した。


別に地面に草が生えてて、
空があって、
夕焼けが沈んで、
それで十分幸せだったあの時間の中も
今も私は生きているのだし。



そして、別にほしがっていないからこそ
光ってしまうもの。
スレていないからこそ、
輝いてしまうその存在。

嫉妬されるもの。
憎まれるもの。
いつのまにか、それを憧れ焦がれるがゆえに、
自らが原因で、争いが起きてしまうこと。

周囲が勝手に格付けして、
何もわかってもらえないこと。
自分でしゃべる自由も
しゃべり方も、
動き方もわからなくなっていく
あのバラバラに分断されていく感じも。

この映画のやさしいタッチの上でなら
しっかりと、カタルシスとして
まとまって、思い出しても怖くない。

物語の力。


***************





豊かさって何なのか。


かぐや姫を見つけた、竹取の翁は、
まさに京の都で、身分の高い公達と姫を結婚させるのが
最終ゴールだと思ってたのだけれど。


今で言ったら、セレブ生活?
アメリカのハリウッド女優のような?
あるいは、東京の超高級マンションや、超高級住宅街で
生活する感じが、出世街道すごろく?


そして、一番男性トップの帝に言い寄られて
はっきりと拒絶。
月に助けを求めてしまう。


かぐや姫は、幼いころ、泥だらけになって
裸足で、わんぱく坊主たちと、
野山をかけまわっていたころに、
原点があったんだよね。
幸せの原風景。

誰にだってあるはずの、
子供時代の頃の世界。


************

予告編で、圧倒的だった
鬼の形相で疾走するかぐや姫、
動く水墨画状態で、





映画館の大スクリーンで見ると圧巻。

そのシーンまで、

かぐや姫は、
あれほど激しい感情を見せることもない。

だからこそ、全速力で走り続けるかぐや姫の
勢いは、鬼気迫ってて。




「・・・よくぞ、あそこまで走らせてくれた!!!」

「よく、走ってくれた!!(私の代わりに)」の気分。



おしとやかにしていなさい。
お行儀よくしていなさい。
今は黙っていなさい。

と言われて、勝手に自分を抜きにして、、
周囲の大人の男たちの間で、
どんどん話が膨らんでいく
女として扱われていくときの

爆発的な怒り。
あれぐらい、衣をかなぐり捨てて、
雪の道を全速力で駆け抜けなければ
相殺されない。

人を殺しかねない勢いの
感情の噴出って、

ある。

でも、出さずに、出せなかったこと、ある。
今も、出していないことも、ある。

あんなに怒っていたのに、こんなに怒っているのに

あまりに怒っているから、
気づかないぐらい怒っていることが、ある。

何に?

あえて言うなら、

この社会に? 国に?
走り出すことを決められない自分に?



***********


5人の貴公子が、
かぐや姫に求婚するシーン

・・・・男性が女性を口説くときの、独特の

「イっちゃってる」
「自己陶酔」の

目と言動が
あまりにまんま描かれいてた。


また、その5人がライバルになるのだけれど、
勝手に本人不在、マドンナ不在で
男性同士で女性の価値がうなぎのぼりに上がっていく様子
(バブル経済?)が
よく出てたなあ~



そして
女性が男性に「理解されない」感を
ものすごく絶妙に描いていたなあ・・・



「お金を積むだけ積めば、姫も、手に入るんでしょ?」の
自分は何もやらずに、他人に偽物の宝を作らせた公達二人。

「あなたは野の花のようなんです」と、同じセリフのコピペで
他の女性にも言い寄っていた公達。

宝を探しに、実際に船を出したものの、
嵐の空と波に、妄想(彼自身の恐れ)を見て、おびえてしまった武士。

年下純情君は、言われた通りに愚直に探し続け、
結局高みから落ちて命を失ってしまう。





五人とも、どこかで見たような男性たち。



*************

かぐや姫が、居場所が無くて、
息抜きに、

小さな昔の里山を作ったり、
機や布を織ったり、
女の童と、羽子板をしたり。



きっと、いつも注目されつつも、地に足のついている
「姫様」って

普段の生活は、こんな風なんじゃないだろうか、と。
こんな空気が流れているのではないだろか、と。
ふと、思った。




かぐや姫は、ちゃんと
身分の上の者として
扱われて
孤独を感じると、悲しむし。傷つくし。

距離を取られて誤解されると
その苦しみを隠そうとせずに
真正面から、悩む。泣く、叫ぶ。怒る。


だから、だんだんかぐや姫が
大好きになってしまって
最後に月に帰るときは
彼女のこの
記憶が無くなるのか、と
涙が止まらなくなってしまった。



**********:




別に
「姫様」だからといって

その肩書や、
呼び名や、
女だから、男だからと言って、

勝手に
思い込んだ枠の中に自分を押し込めて、
そのようにしなければいけないことは
誰も無くて。


今、現代2013年の日本、
平安時代でもなく、

お歯黒をしなくても、
扇子で顔をかくさなくても、
着物を何枚も着こまなくても、

身軽に、
外に堂々と歩いて行ける。


でも、

自分で自分を縛りながら
誰かの欲望を見たそうとして
不完全燃焼なまま
生きることなんて
しなくていいのだから。

選べるのだから。未来は。





********


かぐや姫が、泣くシーンが印象的でした。


・・・泣くと、人って顔から放つ光の色がガラリと変わるけれど・・・・

本当に、ちゃんとかぐや姫も、泣いたときの

崩れた、ブサイク顔(笑)になってた。


あるいは、目元に、ぶわっと涙があふれていて。

かぐや姫は、この映画で本当にたくさん泣いているのだけれど


彼女の涙を見て、

また観客も(私も含めて)安心して泣けたのかもしれません。

浄化の涙、ですね ♡

















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